「愛しいあなたの時計を壊す(そして全部おわらせる)」乃恵瑠さん 「本当に、あんたを殺したら全部終わるんだろうね」 「悪い冗談ですね、もう少しマシな嘘を考える頭もありませんか?」 「ホワイト卿、嘘じゃない、白兎を赤で染めるのが私の役目なんだ」 宰相閣下ことペーター=ホワイトの前に立つ女 名を・、ハートの城のエース用使用人だ あの男が迷子になって仕事が山積みになった事件をきっかけに置かれた女 しかし、其の正体は--- 「暗殺者、よくもまぁそんな人間がいたものだ」 「ゴチャゴチャ言うな、さっさと私に殺されろ」 鋭い身のこなし、素早い動き、急所のみを狙おうとする攻撃 此の女は忍者か?それともエースに何か吹き込まれたのか? アリスがいなくて良かった、こんな場所で戦闘等すれば、間違いなく彼女は止めようとする 「何が目的ですか」 「ゲームを終わらせる、お前が消えれば女王は終わりだ」 あんたの時計を壊せば、ゲーム終了 はそう言って攻撃を繰り出した 暗殺者の目は独特だ、感情を持たない しかし彼女は何処か違っていた 「感情を持った暗殺者が何処にいる?貴女は本当に暗殺者ですか?」 「感情を持った暗殺者でも暗殺者だ、私の父は前王妃を殺している」 それで、娘の も暗殺業を 「いつから潜り込んでいた、殺す前に聞いておかなければならない」 「聞いてどうする!?はっ、此処であんたは死ぬんだ」 「ふざけるな!」 喉元に銃口を突きつける、弾丸を発した後の其れは熱を持ち首の皮膚を焼いた かっとなって動けば此の様だ、何が暗殺だ、他愛も無い 「貴女のような人間を見ると虫唾が走る・・・、死になさい」 「あんたを---」 「・・・何ですか」 「役持ちの人間を、ペーター=ホワイトを殺せ、父の遺言だ」 終わらせてくれ、此の輪廻の世界を どうか、外の世界のように ゲームではない世界に、してくれ 私の娘の、お前の手で・・・どうか 「だが、此の様は何だ・・・結局、私だって父と同じ末路じゃないか・・・」 感情を表に出していたのはそのせいか の目には涙が溜まっていた、目を合わせぬように逸らしている視線 其の紅い目は、私と同じ がちゃん、と落ちた武器 鋭く、古い小型のナイフ おおよそ、代々受け継がれている物だろう こうも、輪廻を繰り返している家系が今もあったのか ・・・虫唾が走る、けれども 「・・・貴女を殺せばアリスが哀しむ、あの男の仕事も進まない」 愛しいあなたの時計を壊す(そして全部おわらせる) 言葉は自然と漏れて出た 銃口の火傷を押さえながら は呆然と私を見上げていた 感情を惜しげもなく晒している其の目で やはり、他愛も無い 「貴女は暗殺者失格だ、もう一度出直して来なさい」 踵を返した背中に、ナイフが突き刺さる事は無かった |