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「欲望にキス」悠さん


それをキスや口づけと呼ぶには…あまりにも荒っぽいと感じる。

噛み付く様に、押し付けられる唇は冷たくて。
まるで全て溶かされてしまいそうになるくらい、熱い。


「っ、ちょ…いい加減に、離して」

酸素を求める様に少しだけ離された唇から、熱を含んだ息を吐きながらアリスは自分の最大限を持って、自身へと覆いかぶさる目に痛いピンク色をした猫を睨みつけた。

「何でさ、アリスは嫌?俺とこういう事するの?」

あがる抗議の言葉に、ぺたりとやはり目に痛い色彩の耳を同色の髪へと埋めるように垂らして首を傾げて見せながらも、あまり気にした様子も無くボリスは取っていた距離を再びゼロにする。

「嫌、嫌…じゃないけど…っ、ん!」

明らかに自分の唱える主張なんざ聞いては居ないと分かっていながらも、それでもしょげる様な仕草に絆されてしまう自分は相当の馬鹿だと思いながらも、アリスは与えられる口付けを拒否する事は出来ない。


抵抗する間も無く口内へと侵入し、逃げる間もなく絡め取られ甘噛みされる舌に。

くらくらと眩暈がする。


ワザとらしく水音を立ててその口付けに、息苦しさを覚えた少女が離せと訴えるように意外としっかりとした猫の背中を容赦なく叩けば、ボリスはその痛みに少しばかり眉を寄せると名残惜しげに軽くリップ音を立てアリスを開放した。


「っ、本気で…いい加減にしなさいよね、この色魔っ」

漸くの開放に唾液で濡れた口元を手の甲へ拭う様に当て、肩を揺らして深呼吸を繰り返しアリスは掠れた声で暴言を吐く。

酸素不足からか微かに色づく頬と、ゾクリとする程色のあるそんな彼女の姿にボリスは楽しそうにその金色の瞳を細めて笑むと、床へとついていた片手でゆっくりとその熱を持った頬を撫で。


「あんたがあんまり可愛いから、発情しちゃったんだよ」

ほら、俺って猫だし?と
砂糖菓子の様に甘く、猫は囁いた。



――― 欲望にキス ―――