「僕の銃口の先」 時宮一さん 雰囲気も何もあったものじゃ無い。背中は徐々に痛んでくるし、頭にだって激痛。何かが頭の中で駆け回っているかのように騒がしい。止めてくれ、これ以上の物は無いと思われる騒音が世界を覆う。その上覆い被さってくる色の、これまた何と煩い事か! チカチカ存在を主張し過ぎる色色色。この国に溢れる色はどれもこれも目に痛い。…訂正、この遊園地と白だけだ。他はそこまででも無い。しかし俺の視界を覆う色。黒はまだ良い。問題はピンク!ファッションセンスも疑うが何よりそのピンクが忌々しい。その上そのピンクは満足そうに笑みを、そう笑みを浮かべてる。獲物を獲った動物の鋭い目。それなら俺は獲物?冗談じゃない! 「退け」 「嫌だ。俺はアンタと遊びたい…いいだろ?」 俺は生憎遊び相手になる程暇じゃ無いと言おうと思ったらハロー痛み!腹部に鈍痛。また其の手かと溜息が出る。しかし其れよりも先に痛みで呻く。ここに来てから一体、いくつもの傷を負ったか?答えは勿論無限に!これからも数え切れぬ程の痛みをプレゼントされるらしい。全くいらない贈り物だ。どうせなら可愛い子が欲しい。 目の前の顔も綺麗な事は確かだが如何せん性格に難有り。 「あーあ、遊んでやるよ分かったよ。御前は俺が好きだもんな」 「勿論、殺したい位に大好きだぜ?で遊ぶのは面白いし」 で、って言ったなこの野郎。思い切り足を上げれば容易く命中、痛そうに顔を歪める様が最高で笑えてくる。痛みのプレゼントは贈るより贈られる方が性に合ってるらしい。やられっぱなしって、趣味じゃないし。ピンクの毛が一斉に動くのは気持ち悪いが実に愉快だ。 そうだ獲物は、俺じゃない。形勢逆転、今や俺が狩人で。 しかしまた世界は単純明快に行かないらしく、拳がクリーンヒット!痛みに顔を歪めれば鼻で笑われた、最悪だ。今や見事に猫の腕の中。仕方が無いから褒美にくちびるをやってみた。 重ねられたくちびるは俺にも充分な褒美なのだけど。 |